友達が来ている服が気になったときに
「どこのブランド?」
と聞いたら良いのか
「どこのメーカー?」
と聞いたら良いのか迷ったことはありませんか?
何となく高そうな服なら「ブランド」と言って、
安そうな服なら「メーカー」と言ったように明確な違いが分かっていない人も多いと思います。
この記事では、明日、人に話したくなる気になる違いを書いています。
この記事がコミュニケーションをとるネタになれば嬉しいです。
メーカー・ブランドの違い
メーカーとは「生産者、生産する企業」であり、製造業を指す場合もあります。
ブランドとは「競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」であり、
服についている何気ないワンポイントのマークも「ブランド」と言えます。
例えるなら、セブンイレブンの『セブンプレミアム』商品
写真は「7プレミアム ワッフルコーンミルクバニラ」「7プレミアムゴールド 金のワッフルコーンミルクバニラ」の製造表示です。
メーカー(製造者):赤城乳業株式会社
ブランド:セブンプレミアム
ということになります。
ユニクロで例えるなら、
メーカー(製造者):ファーストリテイリング株式会社
ブランド:ユニクロ
一方で、
メーカー:ナイキ株式会社
ブランド:ナイキ
このようにメーカーとブランドが同じということもあります。
ブランド体系の違い
ブランドは消費者に対し製品・サービスの出所表示や品質保証などを与えるだけでありません。
場合によっては製品属性や機能を超えたステータス等の象徴的な価値も提供しています。
「セブンイレブン」が企業ブランドで、同社の「金の〇〇」が商品ブランドという具合に、ブランドが階層構造をもつ場合もあります。
また、同一商品カテゴリー内に複数のブランドを展開する事業ブランド戦略が採用されることもあります。
全国的有名メーカーの製品ブランドはナショナルブランド、
大手の卸や小売企業によって開発された自社ブランドはプライベート・ブランドと呼ばれます。
出典:ミツエーリンクス「ブランド体系」
では、ブランド価値とは何だろうか?
それは「企業イメージを一言で説明出来ること」です。
「MUJI 無印良品」
と聞いてどんなイメージが思い浮かぶでしょうか?
『SIMPLE(シンプル)』
という言葉が頭に浮かばなかったでしょうか?
これが「MUJI 無印良品」の現在まで培ってきた「ブランド価値」です。
その無印良品の「ブランド価値」(BE=Brand Evaluation)は、
1,760億円(2020年2月インターブランド社発表)となっています。
※ちなみにapple社は約25.3兆円のブランド価値(2019年10月同社発表)
無印良品は月に1億円売上予測が立っても「柄物のシャツ」を売りません。
なぜなら、自社のブランド価値を損ねてしまうから。
それくらい、「ブランド価値」というのは重要なものなのです。
自社で製造するブランドの違い
ナイキのようにメーカーとブランドが同じ企業もあれば、
ユニクロのようにメーカーとブランドが別の企業もあります。
販売したい製品の製造を他メーカーに委託する形態がOEM・ODMです。
家電・自動車・電子部品・コンピューター・食品などさまざま分野で採用されており、OEM・ODMを専門に行うメーカーも存在します。
OEM(Original Equipment Manufacturing)
- 委託側が用意した製品の図面や設計をもとに、受託側が製造を請け負う形態(日本語では、相手先ブランド名製造と翻訳)
- 受託側がサンプルを委託側に提供し、品質に問題がなければ本格的な製造に移るケースが多い
スマートフォンのiPhoneは、OEM生産の代表例と言えます。
委託企業のAppleはデザインと設計に特化しており、実際の製造はOEMを担当する下請けメーカーの担当です。
出典:ウィストロン、中国企業にiPhone工場売却(トップニュース)
製造されたiPhoneはAppleブランドとして出荷され、小売店やECサイトで販売されます。
ODM(Original Design Manufacturing)
- 委託先が設計やデザインを決定するOEMとは違い、受託先が設計やデザインまで請け負う
- 受託先と委託先の技術レベルが同等、もしくは受託先の方が上回っているケースが多い
メーカーによっては、マーケティング・流通・販売まで一貫して請け負います。
ODMの代表的な例としては、化粧品会社が多くみられます。
ただし、OEMとODMの境界は曖昧となっており、メーカー側の認識にもばらつきが見られます。
あとがき
コトラーのこれからのマーケティング論
経営学者フィリップ・コトラーは、時代が進むにつれてマーケティングも進化していると提唱してします。
コトラーが提唱しているマーケティング論には以下の4段階があります。
マーケティング1.0=「製品主義」
戦前・戦後から1970年代のモノが少なかった時代のマーケティングの考え方です。いわゆる「いいものを作れば売れる」という考え方です。マーケティング2.0=「顧客主義」
商品の選択肢が増えると、顧客の感情を満たすことが重要になります。カメラの場合、製品のストーリーやブランドイメージを訴えることが重要になります。あるいは、市場や顧客ターゲットを絞った商品もブランド2.0の考え方に基づいた製品であるといえます。マーケティング3.0=「価値主導型」
価値主導型とは社会をより良くしようとする考え方に基づいた商品です。例えば、SONYのミラーレス一眼カメラでは、環境負荷を低減するために小型化・軽量化や部品点数の削減を実現しています。消費者の購買意欲を引き出すために、消費者の「社会をより良くしたい」という理念に訴えかける手法です。マーケティング4.0=「自己実現型」
現代は、マーケティング4.0の段階に入っています。マーケティング4.0とは顧客の自己実現に訴えるマーケティングです。顧客自身が持つ、「本来の自分自身を実現」しようとする欲求をかなえることが購買意欲を刺激するという考え方です。
代表的な事例として、レッドブルの事例を紹介します。
かつては、疲れた時の栄養補給やのどの渇きを潤すというイメージしかなかった栄養ドリンクに、
「レッドブルが翼をさずける」というメッセージを乗せて「なりたい自分になるためのドリンク」という新たなイメージを作りました。
マーケティング4.0は「マズローの5段階欲求説」に基づいています。
マズローの5段階欲求
生理的欲求・・・睡眠や食欲などの生きていくための本能的な欲求
安全欲求・・・安全に過ごすという欲求
社会的欲求・・・仲間が欲しいという欲求
承認・尊厳・・・自分の価値を認めてもらいたいという欲求
自己実現欲求・・・あるべき自分でありたいという欲求
マズローの5段階補給では、1~4の欲求が満たされて初めて5の自己実現欲求が生まれます。
マーケティングに関しても、いいものが容易に手に入るという機能的価値が満たされていて、自己実現欲求をかなえる情緒的価値をかなえる段階に入った、と考えられます。
マーケティング4.0を実現するために重要なことは、消費者にとって何が自己実現になるかを具体的に考え、イメージを訴求することです。
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参考資料:
幻冬舎メディアコンサルティング:「レッドブルとコトラーのマーケティング論」
QEEE:「OEMやODMの違いとは?混同されやすいEMSも解説」
Mission Driven Brand:「ブランドポートフォリオとは|ブランド体系とポートフォリオ戦略|事例有」