今では世界のあちこちで使われている「しょうゆ」
日本でも地域によってしょうゆの味は違っており、
旅行で九州に行ったときには、
「しょうゆってこんなに甘いの!?」
とびっくりするくらい地域特性が色濃く出ている調味料と言えます。
そんな「しょうゆ」ですが、大きく5つの種類があるのをご存知でしょうか?
「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」
「こいくち」「うすくち」はよく目にしますがその違いは分かりますか?
この記事は、普段当たり前に見ている光景に疑問を感じ、
その違いをハッキリとさせて、明日人に伝えたくなることをモットーに作っています。
ぜひ話のネタにして下さいね!
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しょうゆとは
そもそも「しょうゆ」とは何なんだろう?
まずは「しょうゆ」について理解していきましょう。
しょうゆとは、次に掲げるもの(これらに砂糖類(砂糖、糖みつ及び糖類をいう。)、アルコール等を補助的に加えたものを含む。)をいう。
(1)大豆(脱脂加工大豆を含む。以下同じ。)若しくは大豆及び麦、米等の穀類(これに小麦グルテンを加えたものを含む。)を蒸煮その他の方法で処理して、こうじ菌を培養したもの又はしょうゆこうじに米を蒸し、若しくは膨化したもの若しくはこれをこうじ菌により糖化したものを加えたものに食塩水又は生揚げ(発酵させ、及び熟成させたもろみを圧搾して得られた状態のままの液体をいう。)を加えたものを発酵させ、及び熟成させて得られた清澄な液体調味料(製造工程においてセルラーゼ等の酵素(たんぱく質分解酵素にあっては、しろしょうゆのたんぱく質を主成分とする物質による混濁を防止する目的で生揚げの加熱処理時に使用されるものに限る。)を補助的に使用したものを含む。)
(2)もろみにアミノ酸液(大豆等の植物性たんぱく質を酸により処理したもの)、酵素分解調味液(大豆等の植物性たんぱく質をたんぱく質分解酵素により処理したもの)又は発酵分解調味液(小麦グルテンを発酵させ、分解したもの)を加えて発酵させ、及び熟成させて得られた清澄な液体調味料
(3)(1)、(2)若しくは生揚げ又はこのうち2つ以上を混合したものにアミノ酸液、酵素分解調味液若しくは発酵分解調味液又はこのうち2つ以上を混合したものを加えたもの
*引用:日本醤油技術センター
ざっくり簡単に説明すると、
- 「大豆」を蒸して、炒った「小麦」を砕き「種麹」を加えます。
- そこから「麹菌」を繁殖させるため、定期的にほぐします。
- できた「麹」と「塩水」を混ぜて「もろみ」を作ります。
- 「もろみ」にアミノ酸液を加え、タンクなどで発酵・熟成させて出来たものが
「しょうゆ」になります。
ここから「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」醤油の違いについて説明します。
【総評】「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」醤油の違い
結論からお伝えします!
しょうゆの主な原料は「大豆・小麦・塩」の3つです。
その原料を使った「製造方法」と「貯蔵期間」によって「味」や「香り」「色度」などの違いが生じます。
これが「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」醤油の違いになります。
製造方法の違い
濃口醤油の製法を基本に、各種類によって製造方法が全く異なります。
種類 | 製造方法 | 工程 |
濃口醤油(こいくちしょうゆ)
製法は3通り |
①本醸造方式
醤油の伝統的な製造方法
|
|
②混合醸造方式
諸味にアミノ酸液を加える |
||
③混合方式
しょうゆにアミノ酸液を加える |
||
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | 諸味に甘酒を加える | |
溜醤油(たまりしょうゆ) | 大豆を主原料とする | |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | 仕込みに醤油を使う | |
白醤油(しろしょうゆ) | 小麦を主原料にする |
醸造期間の違い
醸造期間の長さによって「しょうゆ」色も変わってきます。
濃口を中心に熟成期間の長短が確認できます。
濃口醤油(こいくちしょうゆ) | 熟成期間は3か月~2年 |
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | 仕込み期間は濃口より3割ほど短い |
溜醤油(たまりしょうゆ) | 5種類の中で最も長い |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | 一般的な濃口よりも熟成が長い |
白醤油(しろしょうゆ) | 5種類の中で最も短い(色を付けないように短期間熟成) |
色の違い
色はその名前と同じようになっています。
熟成期間が長ければ色も濃くなっていることが分かります。
濃口醤油(こいくちしょうゆ) | ![]() |
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | ![]() |
溜醤油(たまりしょうゆ) | ![]() |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | ![]() |
白醤油(しろしょうゆ) | ![]() |
出荷量の違い
最も出荷量が多いのが濃口醤油です。
香りと色、味のバランスに優れているのが特長で万能な醤油と言えます。
濃口醤油(こいくちしょうゆ) | 83.4% |
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | 13.4% |
溜醤油(たまりしょうゆ) | 1.5% |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | 0.9% |
白醤油(しろしょうゆ) | 0.8% |
親しまれている地域の違い
一般的には濃口・淡口ともに家庭にあると思いますが、
関西圏では「淡口醤油」が好まれています。
また、中国・九州地方では刺身用に使われる「溜醤油が」一般家庭にも置かれています。
濃口醤油(こいくちしょうゆ) | 全国(関東地方中心) |
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | ほぼ全国(関西地方中心) |
溜醤油(たまりしょうゆ) | 愛知、三重、岐阜 |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | 山口、中国、九州 |
白醤油(しろしょうゆ) | 愛知、千葉 |
味わいの違い
普段見かけない「白醤油」は料理の味付けとして使われています。
製造・熟成方法によって味も異なっています。
濃口醤油(こいくちしょうゆ) | 深いうま味、まろやかな甘味、さわやかな酸味、味をひきしめる苦味を合わせ持つ |
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | 香りが弱くさっぱりとした味わい |
溜醤油(たまりしょうゆ) | トロ味、濃厚なうま味 |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | どろりと濃厚な味わい |
白醤油(しろしょうゆ) | 淡白な味と高い香りが特徴 |
等級・うま味成分の違い
醤油の等級はJAS法で定められています。
醤油の種類によって、特級、上級、標準の規格値が定められています。
全窒素分はうま味成分のことで、グルタミン酸などのアミノ酸が窒素分を含んでいるための指標です。
しょうゆのうま味のもとは「大豆たんぱく」です。
発酵の過程で大豆タンパクが麹菌によって分解され、約20種類のアミノ酸に変わるとともに、うまみのもととなるペプチド類が生成されます。
種類 | 特級 | 全窒素分(%) |
濃口醤油(こいくちしょうゆ) | 特級 | 1.50以上 |
上級 | 1.35以上 | |
標準 | 1.20以上 | |
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | 特級 | 1.15以上 |
上級 | 1.05以上 | |
標準 | 0.95以上 | |
溜醤油(たまりしょうゆ) | 特級 | 1.60以上 |
上級 | 1.40以上 | |
標準 | 1.20以上 | |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | 特級 | 1.65以上 |
上級 | 1.50以上 | |
標準 | 1.40以上 | |
白醤油(しろしょうゆ) | 特級 | 0.4以上0.8未満 |
上級 | 0.4以上0.9未満 | |
標準 | 0.4以上0.9未満 |
塩分の違い
ネーミングからして「濃口醤油」のほうが塩分が高く感じますが、
「淡口醤油」のほうが塩分は高いのが特徴です。
「白醤油」も高いことから、色が薄い方が塩分が高いことが言えます。
濃口醤油(こいくちしょうゆ) | 約16% |
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | 約18% |
溜醤油(たまりしょうゆ) | 約16% |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | 約16% |
白醤油(しろしょうゆ) | 約18% |
カロリー・糖質の違い
カロリーも糖質と同じく、醤油の場合は種類によって数値に若干の差が見られます。
ダイエットをしている人は「しょうゆ」はなるべく避けた方が良いですね。
種類 | 100gあたり | 大さじ1 | |
濃口醤油(こいくちしょうゆ) | カロリー | 71kcal | 約12.8kcal |
糖質 | 10.1g | 約1.8g | |
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | カロリー | 54kcal | 約9.7kcal |
糖質 | 7.8g | 約1.4g | |
溜醤油(たまりしょうゆ) | カロリー | 111kcal | 約20.0kcal |
糖質 | 15.9g | 約2.9g | |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | カロリー | 102kcal | 約18.4kcal |
糖質 | 15.9g | 約2.9g | |
白醤油(しろしょうゆ) | カロリー | 87kcal | 約15.7kcal |
糖質 | 19.2g | 約3.5g |
まとめ
いかがでしたでしょうか?
しょうゆも同じように見えて全く違うことが理解出来ました。
下記表には代表的な料理を記載しています。
濃口醤油(こいくちしょうゆ) | ブリ大根など煮物 |
淡口醤油(うすくちしょうゆ) | 鯛めし |
溜醤油(たまりしょうゆ) | 豚の角煮、鶏もも肉の佃煮など |
再仕込醤油(さいしこみしょうゆ) | 刺身、寿司、マグロのカルパッチョなどのつけしょうゆなど |
白醤油(しろしょうゆ) | お吸い物、茶わん蒸し、大場の豆腐巻きなど |
ぜひ明日の話のネタとして使ってください。
ではではまた。
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参考資料:
しょうゆ情報センター「しょうゆを知る」
kikkoman「しょうゆの種類と特徴」
マルマタ「たまりの特徴と製法」
日本食文化の醤油を知る「しょうゆの豆知識」
職人醤油「醤油の種類」